building
  • logo
  • adress
       
    • トップ


    • 6~7月経過報告

    • 8~9月経過報告

    • 10~11月経過報告

    • 12~1月経過報告

    • 2~3月経過報告

    2015年度文部科学省事業 不登校児童・生徒への学習機会の保障ならびに学習支援の実施とその方法に関わる調査研究

     
      ■研究の特徴
     
     NPO法人フリースクールみなもは、2015年度に2回目の文部科学省の委託を受けて、フリースクールの視点から不登校問題についての調査研究を行います。今回の研究では、フリースクールを教科学習の視点から調査し、不登校の子どもたちへの教科学習の機会の提供をフリースクールでどのように行っていくかを調査素て行く予定です。フリースクールに関する先行研究は、「居場所」機能の視点からフリースクールを捉えたものが多くを占めています。実際、2013年度に当法人が行った研究も「居場所」の視点を意識した研究になっています。しかし、学習、特に進路や学校の授業の代替として行われる教科学習に着目した研究はあまりありません。
     
     一方、学校における学習動機づけをはじめとした学校を対象にした学習の先行研究は数多く存在します。これらの先行研究をフリースクールに導入すると同時に、フリースクールの理念を踏まえて、フリースクールにおける教科学習の実践とそのあり方を、この研究を通じて明らかにしていく予定です。
     
     
      ■研究テーマ設定の背景
     
     日本のフリースクールは、主に不登校の子どもたちに、学校に代わる居場所を提供する支援を行ってきました。今やフリースクールでの「子どもが主体的に行う活動」を通じて成長し、フリースクールを巣立って社会で活躍している人も存在しています。一方、フリースクールに入会したものの、一般的に大学等への進学、就職すべき年齢になってもフリースクールにとどまっているケースや卒業後の進路を見つけられないままにフリースクールを卒業したケースも存在していることも事実です。また、2003年、文部科学省中等教育審議会は「今後の不登校の在り方について」において、不登校問題を「こころの問題」でなく「進路の問題」として新たな認識を示しました。この捉え直しは、学校における不登校対応に進路や学力の保障という新たな切り口を与えました(井上 2013)。
     
     一般的に大学・専門学校などへの進学のためには、高卒認定試験の存在を踏まえると、少なくとも高卒の資格を取得できる学力を身につける必要があるといえます。しかし、「子どもの自主性・主体性」に重きを置くフリースクールは、学習もそれに委ねられる傾向が強かったり、そもそも教科学習を行う環境が整えられていなかったりする場合も多いのです。
     
     これらの点から、時と場合によってはフリースクールにおける教科学習の実施が困難なものになり、次の進路へとつなげていく支援が十分にできていない現状の要因になっていると言わざるをえないのは事実です。しかしながら、極端な教科学習への傾倒は、元来フリースクールの行ってきた、不登校の子どもたちの元気を取り戻す活動を阻害する可能性を伴うことも同時に踏まえなければなりません。少なくとも、当法人の子どもたちが学習に熱心になり、自分の進路に向けて日々学習を行えるようになった背景には、彼らの元気を取り戻した「居場所」の活動の存在が大きいのです。この「居場所」で、スタッフと子どもが出会い、色々な活動を行いました。時にはまったりゴロゴロしたり、時にはボードゲームで遊んだり、時にはテレビゲームで熱い激戦を繰り広げたり、時にはお出かけしたり、時には料理をしてみたり…。そんな日々があったからこそ、子どもたちは勉強にも目を向けられるようになったのです(2013年研究より)。
     
     さて、当法人は、大きく分けて3つの学習形態を用意し、子どもが自分に合った方式で教科学習を受ける体制を整えています。1つ目は、好きなときに予約なく参加し自分のペースで学ぶ「朝の学習の時間」、2つ目は、時間割に沿って授業を受ける学校の学習の代替を目的とした「お昼の授業の時間」、3つ目は、学習塾の「個別指導塾みなも」です。しかし、当法人も「子どもの自主性・主体性」に重きを置くフリースクールであり、特に子どもからの言及がなければ教科学習の機会を提供することはしておりません。また、学習の継続性も子ども次第で、やめたいと思えばいつでもやめる事が可能です。
     
     フリースクールの理念と教科学習、ある見方によっては相反する部分も持ち合わながらも、どちらも子どもたちには欠かせない要素です。フリースクールの理念を尊重しながら、そこに教科学習を落としこんでいくか、どうバランスをとるかを考えて、フリースクールにおける子どもへの教科学習の適切な提案と定着のための方法を明らかにしていこうと考えました。
     
     
    ##