Q フリースクール以外にはどんな場所がありますか?
A 「フリースクール以外に」というよりも、まず同じ「フリースクール」という名前でも場所によって全然違うので注意が必要です。
というのは、日本では不登校児を受け入れているあらゆる団体が「フリースクール」と名乗っているのです。だからみなものように「学校以外の学びの場があってもいい」と考えるフリースクールもあれば、学校に戻すことを目標にするフリースクール(「適応指導教室」と呼ばれる公立のフリースクールもこれにあたる)、学習塾が開いていて勉強を中心としているフリースクールなど、本当に名前だけ同じで千差万別なので自分の目的に合ったフリースクールを選ぶのが重要です。
参考までに、日本には「フリースクール全国ネットワーク」と「日本フリースクール協会」という二つのネットワーク団体があります。このうち「フリースクール全国ネットワーク」はみなものようなフリースクールがほとんどで、「日本フリースクール協会」は学校に戻すタイプ、学習塾タイプがほとんどです。
●みなものようなフリースクール
・神戸フリースクール(兵庫県神戸市)
・フリースクールFor Life(兵庫県神戸市)
・フリースクールフォロ(大阪府大阪市)
また、その他にみなものようなフリースクールに似たものとして「フリースペース」「デモクラティックスクール」があります。
フリースペースはフリースクールに比べ「学びの場」としての特徴が弱く「居場所」の提供のみを行っているものです。また平日は毎日ではなく、週1、2回というところも多いです。そのため一般にフリースクールよりも安価です。
ただしこれも一番一般的な解釈で、フリースペースという名前でも違う特徴を持つ場所もあるのでこれもよく注意してください。
デモクラティックスクールの「デモクラティック」は「民主的な」という意味です。デモクラティックスクールの特徴はスクールの運営に関わることをすべて子どもとスタッフの会議によって決める点です。子どももスタッフも会議では同様に1票ずつの権利をもっていて、完全に平等にものごとを決めていきます。
●フリースペース
・フリースペースSAKIWAI(奈良県奈良市)
・結空間(大阪府富田林市)
●デモクラティックスクール
・西宮サドべリースクール(兵庫県西宮市)
・デモクラティックスクールまっくろくろすけ(兵庫県神崎郡)
不登校児ではなく青年のひきこもりを中心に受け入れているところもあります。
●ひきこもり中心
・淡路プラッツ(大阪府大阪市)
・フリースペースSAKIWAI(奈良県奈良市)(事業の一部)
・結空間(大阪府富田林市)(事業の一部)
フリースクールの様に勉強したい時には勉強する(できる)というのではなく、学校と同じように学習をメインにするけれども、学校のカリキュラムとは違う独自のやり方でやっている、というところがあります。そうしたところはオルタナティブスクールと呼ばれています。
●オルタナティブスクール
・ラーンネットグローバルスクール(兵庫県神戸市)
・わくわく子ども学校(大阪府箕面市)
あまり学校には行きたくない、でも高卒の学歴が欲しい、という場合には通信制の高校に行くのも一つの手です。通信制の高校は年20回ほど学校に行けばあとは通信教育で高校を卒業できます。
しかし通信制高校は独力で学ばなければならない面が多いので、途中で挫折して中退してしまうケースが多いです。そのため、通信制高校の学習のサポートの目的で作られたものが「サポート校」です。サポート校は通信制高校の学習やその他いろいろな学習のサポートをしてくれ、しかもいつ行ってもよい学校、と思えばよいでしょう。ただしサポート校は学費が高いところが多く、しかも通信制高校の学費もかかるので、かなりお金がかかるのが難点です。大体平均でサポート校が年80万円、通信制高校が年40万円ほどです。
なお、サポート校のことを詳しく知りたい場合はサポート校のネットワーク団体「日本オルタナティブスクール協会」のサイトを調べるとよいでしょう。(なぜサポート校のネットワーク団体が「オルタナティブスクール」を名乗っているのかは大いに疑問ですが。)
通信制高校の場合、サポート校だけでなくフリースクールなどと一緒に使う子どもも多いですね。
以下、みなも掲示板でアナゴさんに頂いた質問に対する答えです。
Q フリースクールは高校までなんでしょうか?
フリースクールの大学とかあるんでしょうか?
A まずフリースクールが学校として扱われているかどうか? という事から言えば、ほとんどの場合Noという事になってしまいます(オルタナティブスクールと言われる、勉強をメインとして行うスクールの中には例外もあります。例えば和歌山のきのくに学校など)。
ただ、フリースクールに行っているだけでも(というかフリースクールにも行っていなくても)中学校まではほとんどの場合卒業できます。フリースクールが高校の機能を持っているケースも非常に稀ですが、ひとつのあり方として、通信制高校に籍を置き、勉強はフリースクールで教えて貰って、高校を卒業する、という方法はあり得ます。
フリースクールの大学という事で言えば、東京に東京シューレの運営する「シューレ大学」というのがあり、内容としては下手に目的意識もなく大学に入って勉強するよりもよほど勉強になるところだと思いますが、そこを出たからといって大学卒業資格が得られるということはなかった様に思います。
あと、年齢的に何歳まで受けいれているか? という事だとすれば、みなもの場合は20歳までですが、19歳までとか、15歳までとか、あるいは20歳を超えてもOKとか、場所によって色々です。
Q 僕が知っているスモールフィッシュというフリースクールは海があるのですが、他のフリースクールにも海があるんでしょうか?
また、海があるフリースクールは一般的なんでしょうか?
A ほえ〜。スモールフィッシュというフリースクールは初めて聞いたんですが、現役校長の方が作ったところなんですね。設備的にもすごそうですね……。
海がある、というか、海に面している?フリースクールはそんなにないんじゃないでしょうか。私の知っている十いくつのフリースクールは少なくとも、海に面してはいません。むしろ、山の中にあるよ、というフリースクールならいくつか知っています。
でも、海や山に面していれば、結構楽しいでしょうねぇ〜(うちは完全に街中にありますからね〜)。
Q フリースクールが潰れてしまった場合、どうなるんでしょうか?
A 「フリースクールが潰れてしまった場合」ですが、卒業生はまぁ、すでに利用しなくなっていると思われるのでそれほど影響はこうむらないと思いますが、問題なのはその時に利用していた在校生(?)ですね〜。
私は具体例としては見聞してはいないんですが、まず間違いなく、各々の利用者が「他の近隣のフリースクールに行くことにする」か「もうフリースクールを利用しないことにする」か、どっちかの選択肢をとることになるんだろうと思います。
フリースクールのスタッフは、近隣の他のフリースクールとも交流を持っているのが普通ですので、潰れることになりそうな時には、近隣のフリースクールにそういう手配をしたりもすると思います(そうでなくても、フリースクールはどこに行くのも自由ですので、利用者側で紹介さえしてもらえれば勝手にやるとも思いますが……)。
まぁただ、フリースクールはそれぞれに個性がかなり違いますから(学校の様に規格化されてないですし)、そのフリースクールであっていた子が、他のフリースクールに行って、そこでまたうまく行くかはなんとも言えない面もあるでしょう。
色々なフリースクールが増えてくるのは良い面が大きい一方で、フリースクールが増えれば人数が分散して、その「潰れるフリースクール」も出やすくなると思われます。そこらへん、非常に難しい問題ですね……。
Q 普通学校では科目ごとに教師がいますが、フリースクールでも科目ごとに教師がいるんでしょうか?
また保健室の先生とかカウンセリングの先生とかもいらっしゃるんでしょうか?
A オルタナティブスクールに分類されるところは、割と勉強する事自体に力を入れているので、教科ごとにスタッフがいる場合もあります、が、規模によってはそれほど分かれてなくて数人のスタッフで全教科を持っている場合もあります。関西では、ラーンネットは6、7人のスタッフがいて、教科や学年も分けて見ていますが、わくわく子ども学校は規模が小さくて1〜数人のスタッフであらゆる教科を見ている感じだと思います。
その他の多くのフリースクール、デモクラティックスクールなどは、そもそも勉強は「子どもが希望するならばそれをやる」という感じです(もうちょっと、勉強を積極的に提供するところもありますが)。が、そもそもスタッフ・ボランティアの中にも、それぞれ教科の得意不得意があるので、子どもの希望に応じて、合うその教科(あるいは相性に合わせて)の得意なスタッフが勉強を見る……という感じです。
そもそも、多くのフリースクールはメインのスタッフが2〜5人程度、それからボランティアが数人〜十数人という感じで、その中でそれぞれ状況に合わせて活動している様な感じなので、「科目毎に教師がいる」というような、学校のような状況とはかなり違うと考えた方がいいでしょう。
カウンセラーは、その資格を持った人がいるフリースクールはそんなにないと思いますが(資格獲得のために勉強中の人がいるケースは多くあると思いますが)、しかしある程度以上、カウンセリング的なことを受け止められる(カウンセリングマインドを持った)人は必ずいると思います(そもそも、そうでなければフリースクールなどはできませんし……)。
保健室が存在するってのは、フリースクールではまず考えられないので、保健の先生にあたる人はいないでしょう。ケガした場合などは、救急セットでそれぞれに手当てという感じですね〜。
Q フリースクールでも文化祭ってあるんでしょうか?
またあったとしても来る人はいるんでしょうか?
A 多くのフリースクールはどこも、年に一回文化祭というか、発表会(作品展示会?)みたいなことをやってますね〜。これまでに作った色んなものを見られるように展示したり、あるいは当日何か食べ物を作って振る舞ったり売ったりしたりだとか。あるいはバンド活動をしているところは、コンサートみたいなことをしたり。
来る人は関係者が多いでしょうね。地域の中に密着してやっているフリースクールは、地域の方も来られたりしていると思います。
一つ一つのフリースクールが独自にやるだけでなくて、いくつかのフリースクールが共同で展示会みたいなのをやろうという動きなどもあります。
Q 普通学校では授業は6、7時間ありますよね。
フリースクールは何時間授業があるんでしょうか?
A とりあえずまず、フリースクールは「勉強する場所」というよりは、ほっとできる「居場所」、自分が元気になれる場所、であることが第一の基本的なあり方なので、割と何か楽しい事をして過ごしたりがメインで、「毎日何時間授業〜!」とかって感じではないです。
でも勉強がしたかったり、勉強が必要だったり、勉強できる時間を用意したりとかで、勉強もできる、という感じです。
時間としては、ほんとに子ども側から「今度これが勉強したいのでよろしく」って感じで気の向いた時(あるいは年に数回)とかから、週に1回1時間とか、週に数回とか、あるいは一日のうち午前中2時間、午後2時間程度、受けにいける様に設定されていて、希望者は受講可能とか、いろいろな形態があります。
で、それらも、子どもとスタッフと、あと親なども交えて「これぐらい勉強したいんですけど」「じゃあ、これぐらい勉強できる時間をもうけましょうか?」という感じなので、希望に応じてどんどん変えていける、という感じですね。ただもちろん、スタッフやボランティアの人数や力量によって、どれくらいどんな勉強できる時間をもうけられるか、という事は変わってきますけども。
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